2019年6月30日、2時から奄美観光ホテル3階で、「第1回奄美世界自然遺産推進シンポジウム」が開催されていたので参加してきました。
約170人が来場したこのシンポジウム!シンポジウムに初めて参加した私、ドッキドキです!
そんなシンポジウムになぜかボイスレコーダーを持たずに行ってしまったので、軽くメモったノートを頼りにシンポジウムのレポートというよりは感想をここに「思ったこと日記」として記します。
シンポジウムの流れ
- 開会 12:00~
- オープニングイベント 14:02~
前山真吾さんによる島唄の疲労 - 挨拶 14:15~
大島支庁 松本俊一 - 基調講演 14:20~
公益財団法人屋久島環境文化財団 理事長 小野寺浩氏 - 休憩 14:50~
- パネルディスカッション 15:00~
沖縄奄美自然環境事務長 東岡礼治氏
奄美自然環境研究会会長 常田守氏
住用町市集落区長 山下茂一氏
奄美市議会議員 安田壮平氏
大島高校3年 生物部 富元怜司さん - 閉会 16:00~
第1回奄美世界自然遺産推進シンポジウム 感想
この記事には色々感想が書いてありますが、シンポジウムの流れで書いてないです。
本当に私が思い出したものだけをツラツラと……。
誰が何話してたかも書いてない……こんな話をしてて私こう思ったんだ~みたいな感想記事なのです!すまぬ!
自分の中でまとめて書いていますが、ちょっと支離滅裂で読みづらいかも!ごめんね!
世界遺産登録されて観光客が増えたら、という話
奄美は世界遺産に向けて頑張っている島ですが、最近のノネコ管理計画の問題で
「ノネコ管理計画は世界遺産のためだろ!観光客を呼び込むためだろ!」
とやんややんや言われていたため、世界遺産登録で観光客が増えるのはいけないことだと私の中でインプットされていましたが、このシンポジウムでは観光客が増えることは悪い事ではなくむしろ良い事であるという話があり、目からうろこでした。
ここで勘違いしないでほしいのは、観光客が増えるだけ増えたら良いという話ではないということです。
世界遺産に登録されて観光客が増えるのは良い事だがダメにしないための工夫が必要
観光客が増えたパターンとして最悪なのが
観光客が増える→自然が荒れまくる→自然がダメになる→価値がなくなり過疎る
これが一番最悪だというお話がありました。
私の中で観光客増加はこの図であったため、そりゃそうだ!となりました。
観光客増加でビジネスに走る人、観光客を呼び込むためにと自然に無茶しちゃう人が増えちゃ、奄美は壊されるだけ壊されて、どうしようもなくなってしまうからです。
更に、アマミノクロウサギの交通事故増加もあり、観光客が増えて島が荒らされるのは嫌だなあ、というのがこれまでの私の気持ちでした。
しかし話を聞くと観光客が増えることでのメリットは十分にあると思いなおしました。
私が思った世界遺産のメリット
- 島全体が潤う
- 自然保護で潤うことを知った島民が奄美を大切にしてくれる可能性がある
観光客がくることで潤うのはいいこと
奄美大島はそこまで潤いのある島ではないです。どちらかというとお金ない方なんじゃないかなと思います。
だからこそ、観光客が増えて潤うのは良い事なんですよね。
しかし、世界遺産登録は自然豊かな島であるからこそ。
だからこそ観光客増加で自然が破壊されればアイデンティティがなくなり、また過疎ります。
ここに気づける人が増えれば、奄美を大切にする人が増えるな、と希望が持てました。
人って自分のメリットがないと動きませんからね。
世界遺産登録で観光客が増えた時に、自然を守ることで観光客の足を保てるメリットに気づいて奄美の自然を守る人、興味を持つ人が増えたら良いなと考えています。
また、よく考え、工夫し守りながら一部の人だけが儲けるのではなくて、みんなが潤うようにし、世界遺産でもなんでも使えるものは使って、そのうえで奄美である意味を守るようにしようというお話もありました。
島民が奄美の自然への理解がないという話
世界遺産登録で観光客が増えても、工夫して奄美が奄美たるゆえん、自然を守っていくことが、これから先も奄美としてやっていける道だというお話がありましたが、しかし島民が奄美の自然への理解は高くありません。
高くないというか、低いです……悲しいことに……。
観光客のためにせっせとハイビスカス(外来種)や桜(外来種)を植えた島民
奄美大島が世界遺産登録されるぞ!という時に、まず島民が何をしたかというと、ハイビスカスや桜を植えたという話がありました。
ハイビスカスも桜も外来種です。
確かにハイビスカスは南の島のイメージが濃いので、奄美にハイビスカスがあっても全く違和感がないのですが、しかし外来種、奄美の固有種ではありません。
無知な頃ならば私も「何が問題なの?」と思っただろう話でしたが、結局奄美の生態系に組み込まれていない種をせっせと植えても、それは奄美ならではじゃあないんですよね。
言ってしまえば奄美でなくていいものだし、もっと言えばそれなら遊ぶ場所が多くて便利な沖縄でよくね?ってなるわけです。
折角奄美には色々な種が存在しているのに、奄美のことを知らない島民ならではの発想で、なんとなくで外来種を植えているのが現実なんですよね。(と偉そうにいっても私も多くを知るわけではありません。勉強中の身ですが!)
桜ロードとか綺麗だし、植えるのも大変だったんだろうなあ、と思うのですが……しかしそれは奄美の個性ではなく、ありふれたもの。
ありふれたものが悪いというわけじゃないんですが、でもせっかくの奄美なんだから!
奄美には奄美にしかないものがいっぱいあるのだから、そこを活かしていかないといずれ観光客にも飽きられるんだろうなと話を聞きながら思いました。
観光客を呼び込んで儲けるための自然破壊は先が見えない
例えば奄美が観光客を楽しませるために、遊べる施設を作って道を整備して山なんて切り開いたとします。
でもそういうのって、別に奄美じゃなくて良いんですよね。
シンポジウムで面白い話を聞きました。
大和村には、フォレストポリスと言って山の中に中々綺麗に整備された公園があるのですが、そこは遊具もあるし、なかなか立派です。
しかし、そこは過疎っています。
電波が届かないからかなと私は思っていたんですけど、しかし一方で龍郷町の自然観察の森は子供が多く集まっているのだそうです。
自然観察の森は遊具も撤去したのだそうですが、それでも遊具がババーンとあるフォレストポリスよりも、龍郷町の自然観察の森の方が賑わっているのは面白いですね。
奄美の自然をありのまま観察できる方が、需要があるということなのでしょう。
自然観察の森の方がイベントが多いというのもあるかもしれませんが、しかし自然があるからこそ観察できるイベントも開催されるわけですから、そう考えるとやはり自然を守ることは人を楽しませることにも繋がり、需要を生むのでしょう。
整備は便利になるけども、整備だけじゃ人は集まらないんですね。
それに、個性の時代ですしね!(個性の時代とシンポジウムでも言っていた)
昔から開拓はされているのに固有種がまだ多くいる理由
奄美大島は今でこそ、開拓などが問題視されていますが、昔は開拓がなかった……なんてことはありません。
しかし昔から開拓されている奄美大島、今でも固有種がとても多いんですよね。
これは仮説でしたが、ケンムンやハブの存在が自然破壊防止に関わっていたんじゃないかな?というお話がありました。
ケンムンやハブの影響
ケンムンとは奄美の伝説の生き物で、河童のようなやつです。
ガジュマルの木に住んでいて、この木を切ると祟られると恐れられています。
悪戯好きのケンムンもいますが、大体は住処を守ろうとしての行動だそうで、悪戯に対抗するのも結構ですが、やりすぎると祟られ目を病むそう。
命を落とすことも……。
ハブは言わずもがな、奄美を代表する毒蛇です。
奄美の生態系トップの美しく強い、そして怖い毒蛇です!
このケンムン、ハブがいたからこそ山で悪さはできないなということで自然が保たれた状態なのかもしれないね、という話はとても面白かったです!
今は山を恐れる人が少なくなった
今だとハブをとるひともいるし、ケンムンを見たなんて人も少なくなりましたから(信じる人自体少ないのだと思います)、ケンムンやハブがいるから山を切り開くのはやーめよ、なんて人は居ないのが現状だと思います。
だからこそ、自然をしっかり意識していかなければ簡単に壊れてしまうのが奄美なのかもな、と怖くなりました。
外来種問題の話
外来種問題の話もありました。
奄美は自然豊かな島ですが、外来種問題も深刻な島だったりします。
今話題のノネコもそうですが、それ以外にも外来種が沢山いて、対策が進められています。
奄美の外来種対策マニュアル
奄美の外来種対策資料
外来種対策は希少種保全と奄美の価値・暮らしを守るため
何故外来種対策が行われるのかというと、それは希少種保全と奄美の価値・暮らしを守るためという話がありました。
希少種保全はよく勘違いされますが、珍しいから守るとか、少ないから守るという簡単な話ではありません。
その場所にもともと住んでいる生き物は、その場所をつくるための大事なピースでもあるのです。
歯車がひとつ欠けるとうまく作動しなくなるように、希少種もひとつ欠けるだけで連鎖的に不具合が起こります。
だからこそ希少種保全は暮らしを守ることにも繋がりますし、希少種は奄美にしかいない、いわば奄美の個性ですから、保全には奄美の魅力・価値を保つ役割もあるのです。
生物多様性って何?わかりやすいサイト生態系のお勉強|日立キッズ
外来種は放っておいてもいずれ消える
外来種は、放っておけばいずれなくなるという話もありました。
でもそれは長い長い年月が必要で、更にはその間、在来種が消える可能性もあるとのこと。
つまり外来種は放っておけばいずれ消えるけど、在来種も消える可能性があり、外来種が消えた場所が、以前と同じ環境になることはない、って話なのかなと……。
ここは私が勝手にかみ砕いてそう理解しているだけなんですけど、私にはそういう風に聞こえていました。
マングースは気を抜くと一気に増える
マングースバスターズのお話もありました。
マングースは以前、ハブ対策として山に放たれた生き物で、外来種です。
安易に放たれてしまった後、増えて山の生き物を食い荒らしてしまうことからマングースバスターズが防除事業を頑張っています。
マングースは多い時で1万頭いて、街中でも見かける時代もあったそうです。
しかし今は20頭ほどに減っているとのこと。
ただ、1万頭から20頭に減ったからと言って気を抜くとまた一気に増えてしまうため、気を抜けないという話がありました。
原生林には外来種がいない、しかしちょっと切るだけで外来種がそこに入り込む
原生林は面白いことに、外来種がいないそうです。
ただし、ちょっとでも太陽が差し込むようにと木を切ったり人の手が加えられると、そこから外来種が入り込んで発芽するのだそう。
誰かが意図的に植えなくても、種はどこからともなくやってきて増えるのだというのですから植物はすごいです。
人から見てただうっそうと茂っている原生林は、人が理解できないだけでとてもよくできているのです。
だから人の手をむやみに加えてはいけないという話がありました。
ちょっとでも変えると変わってしまう、とても繊細な森です。
良かれと思って植えられた大浜のアメリカハマグルマ
大浜海浜公園は、今アメリカハマグルマが問題になっています。
見た目をよくするためにと植えられたアメリカハマグルマ、今ではちょっと隙間が空いただけでアメリカハマグルマが発芽してしまうそうです。
一度駆除したら終わりというわけではなくて、定期的に駆除していかなければまた生えてくるこの植物は、見た目が可愛らしいので、だからこ景観のために植えられてしまったのでしょう。
マングースなどとは違って、ぱっと見被害が分かりづらい植物の世界ですが、行われていることは同じです。
良かれと思って放たれた外来種、島民の意識が低いままではこれから先もずっと繰り返されるんじゃないかなと、不安です。
ですからやはり、ここらへんも島民の意識向上が課題なんですよね。
島民にできる外来種対策
奄美の外来種対策マニュアル
島民にできる外来種対策ですが、今年の5月1日に出された外来種対策マニュアルが紹介されていました。
アフリカマイマイなんてよく見かけるけどどうしたらいいかわからなかったので、このマニュアルはとても便利です!是非一度目を通していただけたらと思います。
アマミノクロウサギ、交通事故対策について
アマミノクロウサギ、交通事故対策についてのお話もありました。
今している対策は、
- キャンペーン
- 減速帯
- 標識
この3点です。
場所によっては交通規制も必要であるというお話もありましたので、いずれ金作原のほうも規制される日がくるかもしれませんね。
ただ、訴えてもそれがすぐ通るわけではないという苦労の面も見えたので、すぐすぐすべてが完璧になるとはいかないのかなとも感じました。
希少種が居る場所は夜は特に10kmで走ってほしい
希少種エリアでは夜は特に10kmで走ってほしいという話もありました。
真夜中の山、しかも希少種がいるエリアに行く目的なんておそらく、希少種目当てだと思うのですが、島民・観光客問わず飛ばす人はめちゃくちゃ飛ばしますよね。
夜なんて特に飛ばす人はビュンビュン飛ばしますから、やはりこれも意識を高く持つしかないのかな、と。
それに車はなんだって殺せる鉄の塊であることを、そろそろみんな思い出してくれや~と個人的に思っています。
奄美の未来のためには自然の話をする人が増えるしかない
奄美の人は奄美の自然に興味がない、薄い、このままでは奄美の未来はないだろう。
というのが全体的に言いたかったことだったのかな?
そんな奄美の未来を守るためには、自然の話をする人が増えるしかないということでした。
特に子供に自然に興味を持ってもらう、これが大切だとも。
確かに人って年を取ると、新しい情報を飲み込みづらくなりますし、島民は特にそういった傾向がある人が多いですから、その意味でも子供に奄美を知ってもらうというのはとても大切だなあと完全同意でした。
これがダメだからと嫌々守るのではなく、守る意味を知っていくことが大切
ただ、奄美の自然を知るうえで
「これは~~でダメだから」
という、マイナス要素で嫌々守るのではいけない、という話もありました。
確かに嫌々守るのって続かないですよね。
押し付けて守らせたって、続かないし本当の意味で大切にできないし、理解だって深まらないでしょう。
だからこそ、ひとりひとりが島の魅力に気付いたり、自分の利益になる部分だけでも良いから島の自然に興味を持ち、守る方に進んでいけたらと思いましたよ。
みんなが同じものを好きでいる必要があるというわけではなくて、それぞれ好きになれるところが見つかると良いね、というスタンスで!(/・ω・)/
まとめ
シンポジウムで印象に残ったのは
- 観光客が来るのは良い事
- 観光客が来ても工夫次第で自然を壊さずやっていける
- しかしそれには島民の意識が必要
- 保全するということは、島民にとってもメリットが多くアイデンティティを守ることに繋がる
- 自然のことを話す人が増える、これが一番
自然に興味がなくても、世界自然遺産登録に興味を持つ島民は多い印象でした。
なのでこの機会に自然に興味を持つ人が増えると、とても嬉しいですね!
何より高校生の生物部の方がしっかり受け答えをしていてめちゃくちゃ尊敬の念でした。
生き物が好きですぐ山や川、海に行っちゃうと仰っていたけど、そんな風に奄美の自然に興味を持ち駆け回るのって情熱がなけりゃできないんですよね。すごいや。
シンポジウムは2時間ありましたが、20分ほど伸びました。
でももうちょっと聞きたかったな。
次は9月開催予定だそうなので、楽しみです!