一定数、奄美のノネコは山で暮らすべきという声があります。
ふと、
と思い立ったので、奄美のノネコが山にいることで受けるであろう受難を書き出してみました。
割とリアルだと思いますので、奄美のノネコが山にいて本当に幸せであるかどうか、考える材料にしてください。
奄美のノネコ管理計画についてはコチラで解説しています
-
奄美のノネコ管理計画、3,000匹殺処分ってマ?!真実を検証してみた
「奄美で猫3,000匹殺処分!ひどすぎ!」 「クロウサギ増えてんだから別に猫そのままでもいいでしょ!」 このように、ツイッターでは今日も今日とて奄美のノネコ管理計画についてのバッシングが続いていますが ...
続きを見る
奄美のノネコに待ち受ける受難
奄美のノネコが山にいた時、待ち受ける受難は簡単に考えてみても4つあります↓
- 捕食される・怪我をする
- 台風 ・崩れやすい天候による崩れ
- 病気(ダニやシラミ、寄生虫なども含む)
- ロードキル
どれも家でぬくぬく暮らしている猫には縁のない受難ですね。
ひとつひとつ、解説いたします。
捕食される・怪我をする
奄美のノネコ問題ではノネコに捕食される在来種の話ばかりですが、ノネコも当然ながら食べられます。
奄美に棲息している猫を食べそうな生き物は以下になります。
- カラス
- ハブなどのヘビ
- マングース
この他にも、ルリカケスがカラスの仲間であり小さなハブくらいなら食べてしまうことから、子猫ももしかしたら食べるのではないかという話も出たので、もしかしたら……。
それぞれどんな生き物であるか紹介します。
カラス
雑食の鳥!カラスは猫を襲います。
カラスが猫の天敵なのは、奄美以外でも同じですよね。
上の動画では母猫が子猫を救出できていますが、毎回救出できているわけではありません。
ここにはあまりにもキツイので載せませんが、実際に猫が捕食されている画像や動画もありました……。
そんなカラス、奄美の山道に入るとたむろしていることも。
程度に思っていたんですけど、今考えると……ノネコ……( ;∀;)
野生生物保護センターの人に聞いた話
成猫ならカラスを捕食する側に回れるけれど、子猫の場合は捕食されるリスクがある、とのことです。
ハブなどのヘビ
奄美にはハブやアカマタ、ヒャンなどのヘビが多数います。
そんなヘビ類の中でも、ハブは猫の脅威と言えるでしょう。
何故なら猫はよくハブに噛まれるんです!
ハブに噛まれた猫の話
奄美で活躍されている獣医師のitokei先生のツイートを見れば、それがよくわかります。
今年度入ってハブ咬傷2件目。
分かりやすい写真をくださいってお願いして撮るのに下手くそ…
右手が倍くらいパンパンになってるのですけどね。 pic.twitter.com/7afICyFHQe— itokei (@itokei110) 2019年6月1日
ハブ咬傷で亡くなった子は何頭も覚えている。みんなかなりキツイ状況になるから、余計に記憶に残る。お見せできるようなものでもない。
だから写真を撮るような状況の子は命の危険はないと判断してからになるのです。— itokei (@itokei110) 2019年6月1日
猫を飼っている方からも話を伺うと、猫は好奇心が強いためハブに自分からちょっかいをかけてしまうこともあるのだそう。
猫はハブ毒に耐性がありますが、耐性があっても死ぬ個体が居る以上、猫にとってハブは脅威です。
ハブは猫を丸呑みできる
また、ハブがアマミノクロウサギを丸呑みしたはく製を見たことがあります。
と驚いたものです。
アマミノクロウサギは41cm~51cm(環境省より)、猫もそれくらいですよね。
ハブの大きさにもよりますが中には猫を丸呑みできるハブもいますし、子猫ならなおさら丸呑みしやすいので捕食のリスクは大いにあります。
ハブセンターに141cmのハブが子猫を捕食しているホルマリン漬けが展示されている情報と写真をいただきました><
ちょっとグロテスクですがm(_ _)m
ハブセンターに有ります。
子猫だけど141センチで捕食出来るとはビックリでした。 pic.twitter.com/wiXRMsduhN— 🌙kanda.ken🌙 (@kandaken2) 2019年6月15日
猫は多産ですから、母猫がいくら頑張っても食べられてしまう個体はいます。
山にいるだけで捕食されるリスクが伴う山での生活、幸せですか?
野生生物保護センターの人に聞いた話
ツイッターにてアカマタは子猫を捕食するのか質問しましたが、意見が分かれたのでこちらも保護センターの方に聞いてみました。保護センターの人が言うには、ハブもアカマタも子猫を捕食するとのことでした。私のコミュ障がさく裂して詳しく聞けなかったので、また今度聞いてきますね!(ここらへんハブセンターにも行って聞いてきます)
ヘビと戦った猫が負傷するのも中々ハードモード
たとえその時捕食されないのであっても、ヘビvsネコでノネコが負傷した場合、弱った動きの鈍い猫はカラスの格好の餌食でしょうし、その怪我が原因で死に至ることもあるでしょう。
このことからも猫にとってヘビは脅威ですね。
ノネコなので、病院に連れて行ってくれる人もいませんし、負傷した体で山でのサバイバルを続行しなければなりません。
その意味でもノネコはとてもハードな状況におかれています。
マングース
マングースは、なんでも食べます。
在来種を食べてしまうので、奄美ではマングースバスターズがマングースを完全排除するために活動を続けています。
マングースとアマミノクロウサギではアマミノクロウサギの方が大きいのですが、マングースはそれでもアマミノクロウサギを捕食していることから、子猫なら簡単に食べてしまうでしょう。
今ではマングースバスターズの活動で1万頭から50頭以下に減ったとされるマングースですが、それでもまだ0とは言えないため、ノネコにとって脅威であると言えます。
台風
気象庁のデータを見てみると、奄美地方・沖縄県に接近した2011年~2018年の台風は少ない年で6個、多い時で13個でした。
多いのか少ないのかよくわかりませんが、台風は奄美で避けられないイベントのひとつです。
そんな奄美に来る台風、威力そのままでやってくるので、家の中にいても怖いです。
思わずにはいられないほど……。
体感ですが、大きな台風が近年多い印象です。
私たち人間は家の中にいてある程度は安全ですが、猫はどうでしょう。
上の動画は台風後の住用を映した映像です。
車が通れる場所でもこんなに色々倒れていますが、山の中はもっと荒れています。
ノネコは台風がくると今まさに木が倒れ地面が崩れる!という場所に居ますから、やはり猫にとって台風を避けられない山は危険ですよ。
崩れやすい天候
奄美大島=南の島
青い海、どこまでも続く青い空、白い砂浜とカラッとした天気……
というイメージの人には想像しづらいと思いますが、奄美は日照時間があんまりない島で天候が良く崩れます。
月降水量は1年150mmを上回るほど。
7月から8月は晴れの日が多いですが、11月から翌年3月くらいまで、日照時間が100時間未満、1月から2月は晴れの日が月平均5日程度です。
しかもただ雨が降る程度ならいいのですが、台風じゃないのに台風のような天候もよくあることなので、山にいるノネコはたまったもんじゃないでしょう。
台風の時期さえ凌げればOK!というわけではないのです。
病気(ダニやシラミ、寄生虫なども含む)
奄美の猫の中でも、特に森林部に棲息している猫はトキソプラズマ抗体陽性率が高いと論文が出ています。
抗体陽性とは、今現在それに感染しているか、または感染したいたものから出るものです。
全国13県123検体の野良猫は3.3%の抗体陽性率だったのに対して、奄美は9.0%の抗体陽性率がみとめられています。
過去にはアマミノクロウサギが病理学的解析された際に、トキソプラズマの全身感染が死因に関連していると示唆された論文もあることから、奄美の山の動物を捕食するノネコにはトキソプラズマのリスクがつきまといます。
トキソプラズマは人にも感染し、妊娠中であれば胎児の障害のリスクが上がったり、大人や子供の場合は健康なら無症状、免疫が下がっている場合は脳炎・全身性の症状が出る場合がある怖い病気です。
猫に感染した場合、症状が出るのは子猫が多く、肺炎や嘔吐、下痢、腹水、黄疸、肝障害など症状があります。
想像しただけでも可哀想ですね……。
トキソプラズマの他にも、ダニ・シラミのリスクもあり、最近よく耳にするマダニは貧血や皮膚炎、ヘモプラズマ症(貧血・発熱・元気消失・関節炎)を発症させるとのことですから、病気のリスクが高い山での暮らしは安全であると言えませんね。
ロードキル
ノネコもよく轢かれています。
アマミノクロウサギのロードキルが話題になることが多いですが、ノネコも轢かれているのでロードキルはアマミノクロウサギだけの問題ではありません。
猫はどうしてか、まるでこちらに飛び込んでくるかのように車の前へ躍り出てきます。
狙っているかのように飛び出してくる猫に、いくら気を付けても気をつけようがないという声も……。
実際に、ノネコが多いであろう場所の近くに住んでいるフォロワーさんによれば、特に子猫が飛び出してくるとのことでした。
奄美の獣医師であるitokei先生が、奄美の猫ロードキル情報を教えてくれました↓
市道のみですが、97体という記録が(昨年度途中)出ています。
他の町村は不明あるいは正確な記録がない推定と言うのもありますが、110体くらいは回収されているようです。
つまりは県道含めるともっといますね。— itokei (@itokei110) 2019年6月13日
アマミノクロウサギのロードキルは2007年から2016年の10年間で113体です。
つまりアマミノクロウサギ10年分のロードキル数がノネコ1年分のロードキル数と同じくらいです。
このことから、ノネコにとってもロードキルは深刻だと言えますね。
奄美のノネコが暮らしている山ってこんなところ
どちらも林道ですが、人の手が加えられているぶん、まだマシな方です。
ノネコが居る環境はもっと険しい場所ですよ。
猫は家に居た方が良い〆
野良猫の寿命は3年~5年と短いです。
ノネコが成猫になれてもそのくらいの寿命でしょう。
飼い猫が長くて20年生きるそうなので、その差は歴然です。
飼い猫は病気や怪我をしたらすぐに病院に連れて行ってくれる飼い主が居て、狩りをせずともご飯が食べらますから、そのぶんリスクが少なく長生きできるんです。
飼い猫になれば大好きな睡眠を心行くままむさぼることもできますから、やはり山で暮らすより誰かの飼い猫の方であるほうが幸せなのではないでしょうか。
「愛玩動物だからノネコを殺すな!」
「ノネコ管理計画をやめろ!」
こんな声も多い、そんな奄美のノネコ管理計画ですが、愛玩動物というのならば是非大切に可愛がってあげてください。
山にいる猫は大切にし可愛がられている状況とは言えません。
ノネコにも愛玩動物として可愛がられるチャンスを是非、与えてやってくださると嬉しいです。
ノネコ管理計画反対ではなく、譲渡を呼び掛けていただけるとありがたいです。
よろしくお願いします!