奄美のノネコ管理計画はネットで「ノネコ管理計画」と検索するとトップに出てくるのですが、未だ読まずに「殺処分計画だ!」と怒っている人が多いので、わかりやすく補足などしてみることにしました。
よく叩きを扇動している団体や個人ブログがやるような切り取りではなく、ノネコ管理計画を全て一字一句もらさずに載せながら解読・補足していきます。
10ページ程度なのでまあ、大丈夫やろ!いけるはず!
間違えてたら教えてね。
途中まで書いて思ったんですけど、どう考えても1記事におさめきれないので!数記事にわけていきます!ごめんね!
ノネコ管理計画を読み解こう一覧
ノネコ管理計画
表紙
奄美大島における生態系保全のための
ノネコ管理計画
(2018 年度~2027 年度)環境省那覇自然環境事務所
鹿児島県
奄美市 大和村 宇検村 瀬戸内町 龍郷町
まず表紙からわかること!結構ありますね!
ノネコ管理計画がどういう計画なのかが明確になっているこの表紙、とても優秀だと思います。
ノネコ管理計画の目的
奄美大島における生態系保全のための
ノネコ管理計画
ここに注目してほしいですね。
奄美大島における、生態系保全のための、ノネコ管理計画!
よく世界遺産のためだ~!という話で盛り上がっていますが、もう答えは表紙にあるわけですね。
そう、ノネコ管理計画は奄美大島の生態系を保全しようね、っていう計画なんですね!
ノネコ管理計画はいつからいつまでの計画?
(2018 年度~2027 年度)
そしてココ!
ノネコ管理計画は2018年から既に始まっている計画なんですよ!
今から管理計画が始まるような、今まさに始まったかのような記事が見受けられますが、ノネコ管理計画は2018年から始まっていて、すでに2020年の現在2年経っているんです。
よく殺処分計画と言われるノネコ管理計画ですが、2年前から始まっていて未だ殺処分ゼロであることを考えると、殺処分計画ではないなということがもう表紙でわかる仕様となっていますね。
【2020/06/24追記しました】ノネコ管理計画はどこが関わっている計画?
環境省那覇自然環境事務所
鹿児島県
奄美市 大和村 宇検村 瀬戸内町 龍郷町
ノネコ管理計画について、「奄美はひどい!」という声も時々上がりますが、実はノネコ管理計画は実行しているのは奄美の5つの市町村ですが、計画自体は環境省那覇自然環境事務所と記名されていることから国が関わっている計画と見ていいんですよね。
ですので、ノネコ管理計画は実行されているのは奄美だけれど、国の計画なんですよ。
というか「生物多様性を守ろう」という約束が国と国で交わされている(生物多様性条約/国際条約)ので、言うなれば世界の計画と見てもいいんですよね。
だから個人的には奄美の計画ではありますが、色々な人がノネコ管理計画について話し、考えることは有意義なことと思っています。
ただやっぱりデマ多いんで(笑)そこらへんはね、みんながデマに惑わされず、感情的になりすぎず話していけたら良いなと思うんですけどどうなんでしょうね。
1.はじめに
1.はじめに
奄美大島には、アマミノクロウサギやアマミヤマシギをはじめ、多くの固有種や絶滅危惧種を含む貴重な在来種が生息・生育している。奄美大島では、1979 年に持ち込まれたマングースが増加して在来種を捕食し、在来生態系へ大きな影響を及ぼした。このため環境省は、2000 年から本格的なマングース防除事業に乗り出し、現在はマングースの個体数の減少・分布域の縮小が進み、在来種が回復しつつある(Fukasawa et al 2013, Watari et al 2013)。一方で近年、森林内においてノネコの目撃頻度が増加し、ノネコの森林内での繁殖や希少種の捕殺も確認されるなど、ノネコによる希少種への影響防止が新たな課題となっている。ネコは、国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会が外来種の脅威について注意喚起するために作成した「世界の侵略的外来種ワースト 100(100 of the world’s worst invasivealien species)」にも選ばれ、世界的にも特に生態系等被害が深刻な種として位置づけられている。また、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)(環境省、農林水産省 2014 )」においても、ノネコは総合的に対策が必要な外来種、かつ特に緊急性が高く各主体がそれぞれの役割において積極的に防除を行う必要がある緊急対策外来種に分類されている。「外来種被害防止行動計画(環境省、農林水産省、国土交通省 2015)」では、侵略的外来種の侵入・定着が確認された場合には被害が顕在化する前に対応する方が、被害が顕在化してから対応するのに比べはるかに効果的であり、生態系等に与える影響も少なくてすみ、さらには駆除等が必要な個体の数も最小限に抑えることができることから、早期に迅速に防除を図ることが重要であるとしている。このことも踏まえ、関係機関が連携して迅速にノネコの対策を進めるべく、本管理計画を策定するものである。
ノネコ管理計画1ページ目にははじめに、という項があって何故ノネコ管理計画をするのかが書いてあります。
ノネコ管理計画を知る上で必要な土台であるこの項は結構重要かなって思っています!
奄美にいる生き物
奄美大島には、アマミノクロウサギやアマミヤマシギをはじめ、多くの固有種や絶滅危惧種を含む貴重な在来種が生息・生育している。奄美大島では、1979 年に持ち込まれたマングースが増加して在来種を捕食し、在来生態系へ大きな影響を及ぼした。このため環境省は、2000 年から本格的なマングース防除事業に乗り出し、現在はマングースの個体数の減少・分布域の縮小が進み、在来種が回復しつつある(Fukasawa et al 2013, Watari et al 2013)。
ここには奄美にはたくさんの固有種、絶滅危惧種などの貴重な在来種がいて、マングースによって生態系に影響が出たけどマングース防除事業によって今は在来種が回復してきているよということが書かれていますね。
面白いのが、既にアマミノクロウサギ以外の生き物の名前が「1.はじめに」の時点で登場しているという事なんですよ!
よく「アマミノクロウサギの個体数は増えてきているから管理計画せんでええやろ!」みたいな意見を見るんですけど、既に「アマミノクロウサギだけじゃないよ」ということが「1.はじめに」に書かれているわけですね!
でもどれくらいいるのか、これだけじゃちょっとイメージしづらいので参考資料を載せておきます。
奄美の希少野生動植物
まず奄美市のページをご紹介しますね!
というページに奄美市による指定された希少野生動物が22選、奄美市指定希少野生植物が35選、国・県による指定された希少野生動植物が載っています。
これだけでも奄美にはアマミノクロウサギだけじゃないことがわかりますね。
でもこの文字のラインナップだけじゃ正直イメージつきづらいですので、そんな時はこちらの子供用パンフレットを見てみてください↓
全て書かれているわけじゃないけど、写真つきだしイメージがついてきたのではないでしょうか?!
このPDFは中々わかりやすいので気に入っています!
奄美ではこれからも希少種が増えていく可能性がある
実は奄美、今いる希少野生動植物とは別に新種が結構な頻度で発見される島でもあります。
南海日日新聞のサイトで「新種」で検索すると、ぞくぞくと記事が表示されるので、一部を紹介しますね。
- 新種ハゼ2種、鹿児島大発見 奄美大島と加計呂麻島にも生息
- 新種「アマミヤツシロラン」 地元植物研究家らが発見 奄美大島・徳之島
- 新種アマミムヨウラン発見 奄美大島、植物研究家の森田さん
- トカラ近海で新種の魚類発見
- 新種ニゲミズチンアナゴ大島海峡で発見
- 新種の水生昆虫アマミヨコミゾドロムシ発見/上手さん(岐阜)
更に2020年3月21日の記事では、国内希少種に奄美の動植物10種が追加されたという記事もありました。
新種の認定を受けるには調べて論文にまとめて出してみたいな工程が必要らしくて、ぞくぞくと新種が発見されるためシンプルに大変だ!という話を聞いたことがありますが、確かに毎年こんなに新種がいっぱい発見されてたら大変ですね。
山でも川でも海でも新種が発見されている奄美大島、アマミノクロウサギだけじゃないんですよ!
ここを本当に知ってほしいです!
マングース防除事業が成功して確認されている在来種が回復傾向にあったとしても、まだ見ぬ生き物が居る限り人の影響で発見される前に絶滅する可能性もあるわけですね。
そうならないためにも、ノネコ管理計画は必要なのです。
ノネコの目撃頻度が増加、希少種捕殺が確認されている現実
一方で近年、森林内においてノネコの目撃頻度が増加し、ノネコの森林内での繁殖や希少種の捕殺も確認されるなど、ノネコによる希少種への影響防止が新たな課題となっている。ネコは、国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会が外来種の脅威について注意喚起するために作成した「世界の侵略的外来種ワースト 100(100 of the world’s worst invasivealien species)」にも選ばれ、世界的にも特に生態系等被害が深刻な種として位置づけられている。また、「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト(生態系被害防止外来種リスト)(環境省、農林水産省 2014 )」においても、ノネコは総合的に対策が必要な外来種、かつ特に緊急性が高く各主体がそれぞれの役割において積極的に防除を行う必要がある緊急対策外来種に分類されている。
マングース防除事業が成功しつつありますが、次にノネコの目撃頻度が増加傾向にあるという話ですね。
そして猫は海外でも侵略的外来種ワースト100に入るなど、生態系に深刻な影響を与える種として位置づけられているという背景があるんです。
実際に猫が海外でも影響を及ぼしているという一例↓
最新研究によると、アメリカ本土では毎年、多くの鳥や哺乳類がネコに殺されているという。その数は鳥が14億~37億羽、哺乳類が69億~207億匹にのぼると推定される。これは「途方もない」数字だと、研究の筆頭著者であるピーター・マラ(Peter Marra)氏は述べる。
レッグ氏は人々がネコに対してさまざまな意見を持っていることを認めていますが、ネコが存在しない環境で進化したオーストラリアの生態系にとって、ネコが破滅的な問題であるのは確かだと指摘。「オーストラリアの哺乳類絶滅頻度は世界で最も高く、過去200年の哺乳類絶滅における3分の2はネコが大きな原因となりました」と述べています。
猫が外来種ではなくて生態系に組み込まれていたのならこういった例も自然のことと言えるのですが、猫は生態系に組み込まれていません。
組み込まれていない猫が生態系の中をめちゃくちゃにしてしまうのは問題なので、これ以上ぐちゃぐちゃにならないためにも対策が必要なのですね。
現に猫対策全世界でとられているのが現状なのですよ。
影響が大きく出る前に対策をすることが大切
「外来種被害防止行動計画(環境省、農林水産省、国土交通省 2015)」では、侵略的外来種の侵入・定着が確認された場合には被害が顕在化する前に対応する方が、被害が顕在化してから対応するのに比べはるかに効果的であり、生態系等に与える影響も少なくてすみ、さらには駆除等が必要な個体の数も最小限に抑えることができることから、早期に迅速に防除を図ることが重要であるとしている。このことも踏まえ、関係機関が連携して迅速にノネコの対策を進めるべく、本管理計画を策定するものである。
ここには侵略的外来種が侵入して定着が確認されたとき、被害が目に見えるまでになる前に対応した方が生態系に与える影響が少ないよ、と書かれていますね!
そして駆除が必要な個体も、早く行動することで少なくすむよとも。
確かにノネコが奄美の山の中で生態系を壊していって、やっと人がわかるくらい影響が出始めた頃になればノネコの数も増えているでしょうから、「問題が起きたから駆除しましょう」となった時に今よりも多い数のノネコの駆除が必要になるでしょう。
今よりも多い数のノネコ駆除が必要になれば、貰い手が見つからない可能性も高くなりますし、更に数が多いという事で人員も必要になりお金もかかってしまいますよね。
最悪だー\(^o^)/
だからこそ影響があるかもしれないから最小限で済むように今対策する、というのはとても理にかなっていますね。
現にノネコが希少種を捕殺していることはわかっているので影響が全くないのはありえないでしょうし、ノネコがまだ少ないうちに(少ないと言っても推定600-1200頭ですが)捕獲して譲渡していけば、ノネコが家でぬくぬく暮らしていける可能性も上がるし山に居る希少種も本来の生態系で生きられるようになるしウィンウィンってやつでは?
違うのかな?
今日はひとまずここまでで・・・
うん、蛇足的すぎるのかな、長くなってしまいました。
サクサクといくつもりで、3,000文字くらいに収めようと思っていたんです!本当なんです!
でもできなかったので、まあ、仕方ないですね!
続きはできるだけ早めに書いていきます。
もっとわかりづらくなってたらごめんね!では!