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奄美大島のノネコ管理計画

ノネコ管理計画を読み解こう3.「3.対象地域」「4.管理計画の期間」「5.管理計画の目標」「6.基本方針」

前回、文字数が多かった関係で達成感を得てしまい、途中であることを忘れていましたすみません(^O^)やっちまった

というわけで、前回は16,000文字くらいあったんですけど、あんなに長いと読むほうも読み返す私も疲れてしまうので、できるだけ疲れない量でいけたらと思います。

前回は繋げていないとわかりづらかったのでイレギュラーかな!うん!

今回はノネコ管理計画の「3.対象地域」「4.管理計画の期間」「5.管理計画の目標」「6.基本方針」を解説していきますね。

サクサクね!サクサク!

>>ノネコ管理計画をまず読みたい方はコチラからどうぞ

ノネコ管理計画

3.対象地域

3.対象地域
奄美大島

ノネコ管理計画は「奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画」と表紙にも書いてある通り対象地域は奄美大島です。

奄美大島といえば、どんな島か……ちょっと思い浮かべてみてくれませんか?

よくある南の島っぽいイメージ

離島だから、車で一周余裕、のどかで穏やかで海が綺麗でトロピカルな島……を思い浮かべるかもしれませんが、実際の奄美大島はシダやソテツいっぱいの恐竜出るんじゃね?と思うくらい緑が強く、カラフルというよりはちょっとしっとりめの色味の強い湿気過多のジメジメした島です。

これが実際の奄美

ノネコ管理計画の話になると必ず、奄美大島の大きさやどんなところか、という部分でも勘違いしている方が居ますので、奄美大島はどんなところか解説しますね。

奄美大島は周囲461km、面積712平方km

奄美大島は離島ではありますが、その大きさ周囲461km、面積712平方kmもある日本で2番目に大きい離島です。(1番目は佐渡島の854.17平方km)(沖縄を含めると3番目)

でも数字だけじゃわかりづらいので、大きさ比較を羅列してみました↓

  • 東京23区(621.81平方km)
  • 琵琶湖(670.4平方 km)
  • 淡路島(592.55平方km)
  • 徳島県三好市(721.4平方km)
  • 北海道石狩市(721.9平方km)
  • 青森県十和田市(725.6平方km)
  • 新潟県新潟市(726.4平方km)
  • 山口県下関市(716.1平方km)
  • ドミニカ国(750平方km)
  • シンガポール(721.5平方km)
  • 東京から京都まで約457.0km
  • 奄美を東京ドーム換算すると15228.3179 東京ドーム(面積換算:土地面積計算機で算出

ちょっと書きすぎたかな。

でも結構大きいなあということがなんとなくわかっていただけたらいいなって!どうですか?!わかっていただけたと仮定して話を進めますが……

そうなんです、奄美大島はでかい島なんですよね!!!!(わかっていただけた?)

???「ノネコが600~1,200頭もいれば山で渋滞をおこすだろう。そんなにいるわけがない。」

とおっしゃった方も居たものですが、東京23区に猫が600~1,200匹居る様子を思い浮かべても渋滞にはなりえないように、奄美大島の山でノネコが渋滞を起こすこともないのですね。

また、

???「小笠原で殺処分ナシでいけたのだから、同じ離島の奄美でもできるはず!なんでやらないんだ?!」

という声もありますが、小笠原のネコプロジェクトの舞台である母島は20.2平方km、父島は23.8平方km、そして奄美大島は712平方kmですので……まず大きさが全然違うんですよね。

それに奄美大島はでかい島なのに7万弱しか人が住んでいない(東京23区は957万人)んですよ。

更に伐採地を含めた林野面積は全体の85%(石田健・杉村乾・山田文雄. 1998. 奄美大島の自然とその保全. 生物科学 50(1): 55-64.)もあるので、他の離島と同じようなネコプロジェクトができるはずもないんですよね……!

うん、細かな数字とかは覚えなくてもいいんで、奄美大島は小さな離島ではないよ、これだけは今日覚えていってくださると嬉しいですね!

奄美大島は沖縄じゃないです

ノネコ管理計画の話をすると、「沖縄許さない!」というようなツイートをたまに見かけますので、奄美の位置などについてもお話します。

まず奄美大島は沖縄県じゃないです。

表紙に「環境省那覇自然環境事務所 鹿児島県 奄美市 大和村 宇検村 瀬戸内町 龍郷町」とある通り、鹿児島県なんですね。

でも位置が鹿児島と沖縄の間にあるので、少々ややこしいですよね。

それに環境省那覇自然環境事務所とも書いているし、そこもややこしいのかな?

鹿児島から約380km、沖縄から約340kmなのでやや沖縄に近いところも……ややこしい!

鹿児島から奄美、沖縄まで結んでみた地図↓

それでも

奄美は鹿児島なんですよ~!!!頼む!!!お間違いなく!!!!

まあでも表紙みたら鹿児島であること明記してあるし、計画書を何度か開いた方はおそらく間違えないですね。……ね?

4.管理計画の期間

4.管理計画の期間
2018 年 4 月~2028 年 3 月

ノネコ管理計画は2018年4月から始まり、2028年3月に終わる計画です。

今丁度3年目ということになりますね。

ノネコ管理計画を読み解こう1.「表紙」「1.はじめに」」でも書きました通り、ノネコ管理計画は殺処分計画だと間違われている計画ではありますが、2年前から始まっておりなおかつ今まで殺処分ナシ!

捕獲譲渡に努める計画で、確かに譲渡されなかった場合の殺処分の項目はありますが捕獲譲渡ありきの計画だからこそ殺処分ゼロなんですよね。

そもそも殺処分計画なら、譲渡項目はあるはずもないです。

ですから殺処分計画ではありません!殺処分計画というのは誤った情報ですので、ご注意ください💡

5.管理計画の目標

5.管理計画の目標
多くの固有種・希少種を含む奄美大島の生態系に対してノネコが及ぼす潜在的、顕在化した影響を取り除き、さらにノネコの発生源対策を講じることで、同島独自の在来生態系の保全に資する。

管理計画の目標が明確に書かれていますね。

ここには奄美大島の固有種・希少種を含む奄美大島の生態系に対してのノネコの影響を取り除いてノネコの発生源も対策しようねと書いてありますね。

もっとかみ砕くとノネコを山から出して、山で暮らす猫がこれ以上出てこないように発生源(未去勢の猫)も対策しようねと言う話です。

要はノネコを山から出すことによって在来生態系を保全しよう、これがノネコ管理計画なんですね!

ノネコを出したら生態系は守られるのか?という話

生態系を守るために、ノネコだけを山から出せばいいという話はありません。

「猫だけなんで!」というような反応がたびたび見られますが、奄美大島ではノネコ以外の外来種対策もなされています。

一部をご紹介します↓

ノネコ管理計画の文面だけ読めばノネコを山から出すと生態系を守れるようにとれるかもしれませんが、ノネコ管理計画は生態系保全の一部分でしかないんですよね。

では何故ノネコ管理計画には猫だけの対策しか書かれていないのかというと、これはノネコ管理計画だからです。

ノネコに対する対策(=管理)をしていきましょう、という計画について書かれている計画書なので、ノネコ対策について焦点が当てられ書かれているんですよね。

ですからノネコ管理計画にはノネコについてしか書いていませんが、奄美大島では他にも様々な外来種対策があるんですよ。

決してノネコだけが対策されているわけではありません

6.基本方針

6.基本方針
本管理計画の実施にあたっては、関係する行政機関及び地域団体が連携して、ノネコ対策(捕獲等)とその発生源対策(ノラネコの個体数低減及び飼い猫の適正飼養の推進)を並行して進めることとする。またこれらの取組の進捗状況等を踏まえながら、順応的な管理を行うこととする。

本取組は継続的に実施し迅速に目標を達成することが重要であることを踏まえ、各関係機関は継続的な人員及び予算確保に努めることとする。

ノネコ管理計画は行政機関や地域団体が連携し、ノネコの捕獲や発生源対策を並行して進めていくと書かれていますね。

また、取り組みの進捗状況をみながら柔軟に対応していこう、とも!

継続的に実行して、すみやかに目標達成も重要だから、人員や予算確保にも努めますともあります。

ノネコ管理計画は誰が実行しているの?

ノネコ管理計画はノネコ捕獲のほかにも、ノネコ譲渡や発生源対策も含んだ計画です。

これらは誰が行っているのかを以下にまとめましたのでご覧ください。

ノネコ捕獲 環境省/委託先:株式会社奄美自然環境研究センター※1
ノネコ譲渡 奄美大島ねこ対策協議会※2
発生源対策 奄美大島ねこ対策協議会※2

※1株式会社奄美自然環境研究センターは株式会社奄美野生動物研究所と間違われることもある会社ですが、実際は全く関係のない会社と「令和元年5月10日 衆議院環境委員会議事速報(未定稿)」にも記載されています。

※2奄美五市町村で構成する奄美大島ねこ対策協議会

「奄美大島はノネコを殺処分したがっている!」という声もあるノネコ管理計画ですが、譲渡や発生源対策を誰がしているのか見てみると、奄美五市町村で構成する奄美大島ねこ対策協議会なんですよね!

殺処分したがっている島であれば、そもそも譲渡や発生源対策もしなくないですか?

奄美大島ねこ対策協議会があること自体おかしい話になってしまいます。

しかし奄美は殺処分したがっている島ではないので、奄美大島ねこ対策協議会をつくりノネコの譲渡や発生源対策をしているんですよ~!!

TNRについては一部こちらの「ノネコ管理計画を読み解こう2.「2.現状と課題」|餌の質向上で繁殖力が上がった可能性」に記載してありますので参考にしてください。

奄美大島ねこ対策協議会の適正飼養啓発活動の一部

奄美大島ねこ対策協議会はノネコが捕獲された後の譲渡や発生源対策(TNR)の他にも島民が猫の適正飼養とは何か知れるよう冊子や看板の作成なども行っています。

賛否両論ありますが、私はこのネコレンジャーの冊子好きです!

誰にでもわかりやすく、難しくない内容なので理解しやすいので読んでいない方は是非!

奄美ネコ問題ネットワークさんも啓発活動頑張っています!

また、奄美大島ねこ対策協議会の他にも奄美ネコ問題ネットワークさんが学校へ出向いてノネコについての出前授業なども行っているので、猫の適正飼養の意識も広まってきているのではないでしょうか。

出前授業一部↓

奄美ネコ問題ネットワークさんはノネコ管理計画前から啓発活動を頑張っている団体さんです。

猫の適正飼養は子供のうちから学んでいたい項目なので、こうやって出前授業をしていただけるのは大変ありがたいです。

ノネコ管理計画の予算

ノネコ管理計画の予算額は環境省から出されるもので大体が1年3,000万円~4,500万円ほどですね。

参考にした資料はこちらです↓

資料を見ると平成29年度はだいたい3,000万円で、令和元年は徳之島対策予算も含めた約4,580万円です。

令和元年5月10日 衆議院環境委員会議事速報(未定稿)」を見てみると環境省から出された予算は

捕獲のためのわなの設置、点検、自動撮影カメラによるモニタリング調査、検討会の開催といった内容に加え、徳之島におけるノネコの捕獲の実施

に使われるものであり、少なくとも令和1年の環境省の予算は譲渡やTNRには使われていないんですね。

では譲渡やTNRにかかる予算はどこから出ているのかというと、こちらも「令和元年5月10日 衆議院環境委員会議事速報(未定稿)」を見てみると

譲渡事業につきましては、これにつきましては、奄美五市町村で構成する奄美大島ねこ対策協議会が実施をしてございます。また、捕獲された猫の収容施設の整備につきまして鹿児島県が補助を行っておるところでございます。

とありますので、譲渡やTNRにかかる予算は奄美から出ているのでしょうかね?捕獲されたノネコの収容施設の整備は鹿児島からも補助が出ているようです。

もっといみていくとTNRについてもわかってきました。

まず、飼い猫の不妊去勢手術の助成事業につきましては、奄美五市町村がそれぞれ実施をしてございます。また、野良猫のTNR事業につきましては、奄美五市町村で構成する奄美大島ねこ対策協議会が実施しておるところでございます。

 これらの事業に対しまして、国交省所管でございますが、奄美群島振興交付金が活用されていると承知しておりますが、環境省としての助成は行っておりません。

とありますので、TNRは奄美群島復興交付金を活用していますね。

TNRだけではなく、飼い猫の不妊去勢手術の助成にも奄美群島復興交付金が活用されていると……!

実際に奄美群島復興交付金の内訳もみてみましょうか。

まず「ネコ」でページ内検索をすると、「ネコの不妊手術件数」というものが出てきました。

  平成29年 中間目標令和3年 最終目標令和5年
ネコの不妊手術件数 1539件 1300件 1030件

ずっと下へスクロールすると、次はネコ対策事業という項目が出てきます。

ノネコ対策と,その発生源対策を並行して実施することにより,アマミノクロウサギ等の希少野生動物の被害を防止し,独自の在来生態系の保全に資する。

引用:令和元年度奄美群島振興交付金事業計画( 条件不利性改善事業 ・ 成長戦略推進事業等 )

事業期間は令和1年から令和5年、交付対象事業費が65,472,000円、そのうちの交付率が10分の5とあるので半分ですね。

交付対象事業費 65,472,000円
交付できる 5/10(半分)
交付額 32,735,000円
鹿児島負担額 6,544,000円
市町村負担額 26,193,000円

交付が32,735,000円、でも必要な額があと半分足りないので、負担額の欄をみると鹿児島が6,544,000円+市町村26,193,000円=32,737,000円とあります。

これを見る限り、奄美市町村も出してますね。

もっと詳しく知りたかったので過年度の施政方針(奄美市)平成31年度主要施策事業概要もみてみました。

ずっとスクロールしていくと、「自然に囲まれた快適なくらしのまちづくり」のところに野良猫対策事業などの記載がありました。

  概要 費用の出どころ 費用
野良猫対策事業 野良猫のTNR事業 2,400,000円
飼い猫避妊・去勢手術助成事業 捨て猫防止・自然繁殖抑制を図るため飼い猫の避妊・去勢手術の費用一部を助成 1,550,000円
マイクロチップ装着支援事業 飼い猫の所有者を明確にするためにマイクロチップ装着支援 1,000,000円
ノネコ対策事業 国、県、奄美大島5市町村で連携し希少動物が生息している地域からノネコの排除を行う 14,052,000円

補と単の文字はなんだろうと思ったのですけど、調べたところ補は補助事業(国から負担または助成を受けて実施する)、単は単独事業(補助なしで独自の経費で実施する)っぽいですね。

施政方針と予算編成の概要にも↓

ノネコの発生源対策として「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」の普及啓発を図るとともに,飼い猫の避妊去勢手術,マイクロチップ装着の助成事業や,野良猫のTNR事業などの施策を引き続き展開してまいります。

引用:平成31年度 施政方針と予算編成の概要

と書かれているので、やはり「捕=補助事業」「単=単独事業」で間違いないですね。

なのでこの年はマイクロチップ装着支援事業に奄美市は単独でお金を出していたということになります。

ついでに「令和2年度施政方針と予算編成の概要 」今年の予算も見てみましたところ↓

  概要 費用の出どころ 費用
野良猫対策事業 野良猫のTNR事業 2,400,000円
飼い猫避妊・去勢手術助成事業 捨て猫防止・自然繁殖抑制を図るため飼い猫の避妊・去勢手術の費用一部を助成 1,550,000円
マイクロチップ装着支援事業 飼い猫の所有者を明確にするためにマイクロチップ装着支援 1,000,000円
ノネコ対策事業 国、県、奄美大島5市町村で連携し希少動物が生息している地域からノネコの排除を行う 12,800,000円

今年は野良猫対策事業に独自の経費を割り当てていることから、毎年補助事業費と単独事業費は決められている分をうまい具合に割り振っているのでしょうね。

マイクロチップ装着支援事業・野良猫対策事業、どちらも山で過酷に暮らす猫をこれ以上生み出さないためには必要なこと、そしてノネコ管理計画にある

行政機関及び地域団体が連携して、ノネコ対策(捕獲等)とその発生源対策(ノラネコの個体数低減及び飼い猫の適正飼養の推進)を並行して進めることとする。

この、発生源対策になるわけですから奄美大島はノネコ管理計画にお金を出している立場でもあるとここからもわかりますね!

「ノネコ管理計画は利権だ!」なんて話もよく聞きますけれども、奄美もお金出しているということは、環境省からのお金だけではまわらない計画ということでもあるんです。

計画には多くの人が関わっていますし、生きるためには対価が必要……人件費だってかかりますからね~(;´Д`)

また、再三言いますが奄美の山は険しく危ない場所なんですね。

なので、いくら利権だと言われましても、ノネコがいる山には地元の詳しい方が入った方が絶対的に事故率・遭難率が低くなるので良いんですよ。

ここまでお話した通り、環境省からの予算は↓

捕獲のためのわなの設置、点検、自動撮影カメラによるモニタリング調査、検討会の開催といった内容に加え、徳之島におけるノネコの捕獲の実施

に使われていますから、やはり地元の詳しい方に任せるのがコスパ的にも一番です。

地元の方以外がやるとしたならば、外の人に山を教えてどのような点に注意しなければならないかなど教育が必要となります。

実習中も大体の会社は給料が出ていますから、奄美の山歩き教育をしている最中の給料も出るとすると今以上の予算を組まなければならなくなることは簡単に予想できる話です。

であれば、奄美の山に詳しい地元の人に頼んだ方がやはりコスパも良いと思いませんか?

奄美だけではなく、国のどの政策でも地元民に任せるのはなんらおかしなことはありません。

まとめ

割とサクサクいけたのではないでしょうか!

ただ今回は数字が多めだったので、難しいなと感じる人も多かったかもしれませんね(私は難しいわと思いながら書いていました)。

なので今回は奄美は小さくないし鹿児島だけでも覚えてくれると良いかなと思っています。

奄美は鹿児島県です。

奄美は鹿児島県です。

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