台風が今年もあんまり来ないなあ、そんな奄美の夏を過ごしております。
秋がないはずの奄美なのに、最近ほんのり涼しくて「奄美にも秋がやってくるのか?!」と嬉しいような、不思議で複雑な気持ちです。
さてノネコ管理計画の解読・補足は5記事目になりましたが、今回でほぼほぼ終わりになります!亀の歩みでしたが、ちゃんと書き終えれそうなことにほっとしています~!
⑥もあるかと思いますが、⑥以降はノネコ管理計画に書かれている引用文献はどれなのかとか、そういう資料まとめになりますね。
では今回もできるだけサクサクいけたらなと思います!書きます!
(すみませんサクサクは無理でした)
ノネコ管理計画を読み解こう一覧
ノネコ管理計画
7-2.ノネコの発生源対策のための活動及び実施体制等
7-2.ノネコの発生源対策のための活動及び実施体制等
ノネコを増やさないために、ノネコ発生源となりうるノラネコ及び不適切に飼養されている飼い猫についても、飼い猫の適正飼養やノラネコの増加抑制等の取組を推進する。これらの取組はノネコ対策を着実かつ効率的に進めるために重要である。
7-2ではノネコの発生源に対する活動や実施体制について書かれています。
ノネコの発生源となりうるものとして
- ノラネコ
- 不適切に飼養されている飼い猫
が挙げられますが、この発生源の対策として「飼い猫の適正飼養やノラネコの増加抑制などの取り組みをしていくよ」という話ですね。
ここを見ると、ノネコ対策には発生源対策も必要不可欠であるとわかります。
メモ
(1) 体制
(1) 体制
環境省、鹿児島県、奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町が役割分担をして実施する。ネコ問題についての普及啓発は環境省、鹿児島県、5市町村が連携して実施し、条例に基づく適正飼養推進や飼い猫の不妊去勢、ノラネコのTNR事業等は5市町村が中心となり関係団体等と連携して実施する。
ここには誰が実施するのか、どのように実施されるのかが書かれています。
表にしてみましょう!↓
発生源対策実施 | 環境省、鹿児島県、5市町村(奄美市、大和村、宇検村、瀬戸内町、龍郷町) |
ネコ問題普及啓発 | 環境省、鹿児島県、5市町村 |
条例に基づく適正飼養推進・飼い猫の不妊去勢・ノラネコのTNR事業 | 5市町村が中心となり関係団体などと連携し実施 |
やっぱこういうのって文字でざっと書かれているより表にしたほうが断然わかりやすくなりますね。
(2)実施地域
(2)実施地域
奄美大島の集落及び集落周辺
奄美大島のノネコの発生源対策なので、実施地域も奄美大島です。
集落という言葉聞き馴染みがない方もいらっしゃるかと思いますが、集落というのは↓
しゅう らく [0][1]しふ- 【集落】 ・しゆう- 【聚▼落】
① 人が集まって生活している所。人家が集まっている所。村落。
② 地理学で、人間の居住の形態。家屋だけでなく耕地なども含む。また、村落のみならず広義には都市をも含む。
③ バクテリアが固体培養基の上に作った集団。コロニー。引用:weblio辞書
要は人が集まっているところですね!
集落って呼び名がないところでも、町内会とかありますよね?あんなかんじです!
奄美大島にはどれくらい集落があるのか、ちょっと気になったんで調べました↓
市町村名 | 集落数 | 参考サイト |
奄美市 | 96 | 奄美市の人口(住民登録月報)|奄美市 |
大和村 | 11 | 大和村の概要|大和村 |
宇検村 | 14 | 人口・世帯数|宇検村 |
瀬戸内町 | 56 | 瀬戸内町の集落(西方・古仁屋・東方・山郷地区)|瀬戸内町 |
龍郷町 | 20 | 龍郷町の人口と世帯数|龍郷町 |
これだけの数の集落に向けて「発生源対策をしましょう」と書いているわけなんですね。
うーん、多い!すごい!
発生源対策は啓発の他にも飼い猫の不妊去勢・野良猫のTNRもありますから、この集落の数だけ発生源対策を行うのは中々大変なことです。
(3)取組及びその進め方
①飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例
(3)取組及びその進め方
①飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例
2011 年度に奄美大島5市町村それぞれで飼い猫条例が制定された。これにより、飼い猫の登録が義務付けられ*4、室内飼育や繁殖制限が推奨された。また、奄美市の条例では、みだりな餌やりが禁止された。条例が制定されてから5年後、さらに飼い猫の適正飼養を進めるために、2017 年3月議会と6月議会にて条例が改正され、5市町村においてマイクロチップの装着*5や繁殖制限が義務化され、5頭以上の多頭飼育は許可制になった。また、条例で義務付けられた飼い猫登録申請やマイクロチップ装着などに違反した場合、5万円以下の過料が設定された。また室内飼育の努力規定が新設された。
また、これまでマイクロチップ装着推進のために、環境省と奄美市が装着支援事業を実施してきた*6。今後、5市町村で実施していく予定である。今後、5市町村が中心となって飼い猫条例に基づき適正な飼養を一層推進し、新たなノラネコ、ノネコの発生を予防していく。
*4:2017 年 12 月末時点で 4444 頭登録
*5:2017 年 12 月時点で装着率は約 30%。
*6:2017 年 12 月時点の装着頭数 環境省事業 1314 頭(2008 年度~)、奄美市事業 23 頭(2017 年 12 月~)
ここには「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」についてかいつまんで書かれていますね。
ちょっと長いんで、分けて解いてみましょう。
「飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例」が制定された時期と当時の条例内容
2011 年度に奄美大島5市町村それぞれで飼い猫条例が制定された。これにより、飼い猫の登録が義務付けられ*4、室内飼育や繁殖制限が推奨された。また、奄美市の条例では、みだりな餌やりが禁止された。
*4:2017 年 12 月末時点で 4444 頭登録
2011年に奄美大島5市町村で飼い猫条例が制定されたと書かれています。
その時は
- 飼い猫の登録義務
- 室内飼育と繁殖制限(避妊去勢)推奨
- みだりな餌やり禁止
という結構シンプルな内容でした。
これをベースに足されていったわけです。
飼い猫の登録方法・5市町村サイト一覧
条例が制定されてから5年後
条例が制定されてから5年後、さらに飼い猫の適正飼養を進めるために、2017 年3月議会と6月議会にて条例が改正され、5市町村においてマイクロチップの装着*5や繁殖制限が義務化され、5頭以上の多頭飼育は許可制になった。また、条例で義務付けられた飼い猫登録申請やマイクロチップ装着などに違反した場合、5万円以下の過料が設定された。また室内飼育の努力規定が新設された。
*5:2017 年 12 月時点で装着率は約 30%。
条例が制定されて5年後、2017年3月議会・6月議会で条例が改正されています。
- マイクロチップ装着・繁殖制限の義務化
- 5頭以上の多頭飼育は許可制
- 飼い猫登録申請やマイクロチップ装着などに違反した場合5万円以下の過料
- 室内飼育の努力
最初の条例では繁殖制限が推奨だったのが、改正後に繁殖制限が義務化されていますね。
ただこれ、条例の第4条を見てみると
5 飼い主は,やむを得ず飼い猫を屋外で放し飼いにする場合には,繁殖制限の措置を講じなければならない。
とあるので、室内飼育の場合は繁殖制限をしなくても良さそうではありますが、いくら飼い主が努力しても猫の脱走の可能性は0になりませんから、やはり外に出て行ってしまう「もしも」を考えて繁殖制限はした方が良いでしょう。
また、改正後に多頭飼育は許可制になり、違反者は過料が設けられています。
室内飼育は努力規定なので必ずしも室内で飼育してくださいという条例ではありませんが、外の危険(ハブや交通事故、天災など)を考えると室内で飼育した方が安心ですね。
マイクロチップ装着支援事業
また、これまでマイクロチップ装着推進のために、環境省と奄美市が装着支援事業を実施してきた*6。今後、5市町村で実施していく予定である。今後、5市町村が中心となって飼い猫条例に基づき適正な飼養を一層推進し、新たなノラネコ、ノネコの発生を予防していく。
*6:2017 年 12 月時点の装着頭数 環境省事業 1314 頭(2008 年度~)、奄美市事業 23 頭(2017 年 12 月~)
マイクロチップ装着が飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例により義務化されました。
そのマイクロチップ装着について、義務化するだけではなく環境省と奄美市は装着支援事業を実施してきたというお話が書かれていますね。
適正な飼養ができるようこの装着支援事業を継続的に行い、さらにノラネコやノネコの発生予防もやっていくよ~!ということが書かれています。
奄美では無料~1,000円程度でマイクロチップ装着できます
マイクロチップは奄美だと5,000円程で入れられるのですが、奄美(瀬戸内町除く)では支援事業として無料~1,000円程度でマイクロチップを入れられます。
市町村 | マイクロチップ助成 | 助成条件 |
奄美市 | マイクロチップ装着費用全額負担(予定頭数に達した時点で受付終了) | 奄美市内に居住している者 市税その他の本市に納付すべき債務を滞納していない者 |
大和村 | マイクロチップ装着費用全額負担 | 村内に居住している者 市税その他の本市に納付すべき債務を滞納していない者 |
宇検村 | 検討会では4,000円の助成があるとの話がありました(H30.4~) | - |
瀬戸内町 | 検討会では町負担でチップ購入がされているとのことでした(電話問い合わせをしたところ現在は助成ナシとのこと) | - |
龍郷町 | 検討会では町負担でチップ購入がされているとのことでした(電話問い合わせしたところ町負担でのチップ購入で間違いないとのこと) | - |
助成条件はありますが、厳しくもないので瀬戸内町以外は問題なく受けられますね。
ただ、宇検村・龍郷町は町負担だったり助成があるもののネットではその情報がしっかり見られなかったりしたので、ここは改善した方が良いかなあ、と思いました。
しかし電話するとしっかり教えてくれたので、わからないことはまずはお問合せしてみると良いですね!
瀬戸内町は今は助成がないようですが、瀬戸内町のエリアは希少種も多いので、もっとノネコ対策に力を入れてほしいなと個人的に思いました。
※この情報は2020年10月現在のものです。
条例以前よりマイクロチップは支援事業により無料でした
飼い猫の適正な飼養及び管理に関する条例ができたのが平成23年(2011年)で、改正されマイクロチップが義務になったのが平成29年(2017年)ですが、実は2016年から2017年3月31日までマイクロチップ装着支援事業として、動物病院でマイクロチップを無料出入れられるというものがありました。
ペットの適正飼養を推進して野生生物の保護につなげる環境省の2016年度マイクロチップ装着支援事業が23日、奄美大島と徳之島で始まった。飼い猫、飼い犬へのチップの装着を両島の動物病院で無料で行い、ペットの遺棄と野生化の防止を図る。実施期間は17年3月31日まで。
少し調べてみると2013年ごろは毎年200個のマイクロチップが無料で装着できていたようですね。
チップ装着の無料化(奄美大島と徳之島とで年200個まで)を通して、奄美固有の希少な野生生物の保護と愛玩動物の適正飼養推進を図っている。
これらを見ると、結構前から奄美は適正飼養に向けて動いていたとみれます。
ただマイクロチップ装着率は平成23年(2011年)の6.79%が令和1年度(2019年)で24.97%にはなっているものの、高いとは正直言えないです。
適正飼養もみんなできているというわけではないので、適正飼養啓発の難しさがここで垣間見えます。
が、一部動物病院(確認しているところでは、いんまや動物病院がそのようですね!ありがたや!)では新しく来た猫の飼い主さんに、マイクロチップ義務や登録義務の話を教えてくださるところもあって、「知らなかった人が知る機会」は前より確実に増えていると感じますね。
啓発って地道なものですが、段々良くなっているのは間違いないのでいつの日か「適正飼養が当たり前の奄美」になる、そんな希望も見えます!
②飼い猫の不妊去勢助成事業及びノラネコのTNR事業
②飼い猫の不妊去勢助成事業及びノラネコのTNR事業
奄美大島5市町村は、鹿児島県獣医師会等と協力し、飼い猫やノラネコ対策の取組を行っている。飼い猫に対しては、2013 年度から不妊去勢手術の助成事業を行っている*7。
また、集落周辺に生息するノラネコに対しては、TNR事業を行っている。2013 年度に奄美市、2014 年度に大和村がそれぞれ事業を開始し、2016 年度からは5市町村全てが事業を展開している*8。
今後、TNRを進めつつ、その効果については検証し、順応的にノラネコ対策を見直していく。5市町村が中心となって関係団体等と連携してこれらの飼い猫やノラネコへの対策を推進し、新たなノネコの発生を予防していく。
*7: 2013 年度~2015 年度まで鹿児島県獣医師会によって不妊去勢手術の助成事業が行われ、それ以降は5 市町村が不妊去勢手術の助成事業を行っている。2017 年 12 月末までに 1813 頭施術した。
*8:2017 年 12 月末までに 2033 頭施術した。
「②飼い猫の不妊去勢助成事業及びノラネコのTNR事業」では奄美大島での飼い猫の不妊去勢手術の助成とノラネコのTNRについてが書かれていますね。
どちらもノネコ発生源対策では欠かせない項目です。
こちらも分けて参りましょう。
2013年から始まった本格的な猫対策
奄美大島5市町村は、鹿児島県獣医師会等と協力し、飼い猫やノラネコ対策の取組を行っている。飼い猫に対しては、2013 年度から不妊去勢手術の助成事業を行っている*7。
また、集落周辺に生息するノラネコに対しては、TNR事業を行っている。2013 年度に奄美市、2014 年度に大和村がそれぞれ事業を開始し、2016 年度からは5市町村全てが事業を展開している*8。
*7: 2013 年度~2015 年度まで鹿児島県獣医師会によって不妊去勢手術の助成事業が行われ、それ以降は5 市町村が不妊去勢手術の助成事業を行っている。2017 年 12 月末までに 1813 頭施術した。
*8:2017 年 12 月末までに 2033 頭施術した。
ここに書いてあるのはいつから飼い猫助成、ノラネコのTNRをしてきたか、ということです。
時系列で並べてみると
2013年 | 飼い猫に対し不妊去勢手術の助成(鹿児島県獣医師会) 奄美市でのTNR事業開始 |
2014年 | 飼い猫に対し不妊去勢手術の助成(鹿児島県獣医師会) 大和村でのTNR事業開始 |
2015年 | 飼い猫に対し不妊去勢手術の助成(鹿児島県獣医師会) |
2016年 | 飼い猫に対し不妊去勢手術の助成(鹿児島県獣医師会から5市町村にバトンタッチ) 5市町村すべてがTNR事業を展開(現在に至るまで) |
2017年12月末 | 飼い猫に対し不妊去勢手術の助成(5市町村) 飼い猫の不妊去勢手術が合計1813頭 |
現在 | 飼い猫に対し不妊去勢手術の助成(5市町村) 5市町村すべてがTNR事業を展開 |
2013年からノネコの発生源対策がされているとわかりますね。
ノネコ管理計画に対して
「マングースが捕れなくなってきたからノネコ管理計画を始めた!」
という意見もたまにあるのですが、2013年からノネコの発生源対策もされていますし「実はノネコに対する対策は最近始まったものでもない」とここでもわかります。
そしてノネコに対する危機感は、更に前から講じられてもいました↓
また,ノイヌやノネコは南西諸島においてトゲネズミ Tokudaiaosimensis やケナガネズミ Diplothrix legata などを捕食している
(省略)
移入生物種による生物多様性喪失を防止するためのガイドラインが検討されている
引用は1998年に開催された第41回シンポジウム記録ですので、私たちが思っているよりもはるか前からノネコは問題になっていたわけですね。
世界自然遺産候補地として選ばれたのが2003年のことですから、1998年に既に問題になっているということは
「ノネコ管理計画が世界遺産のために急遽作られた計画である」
というのも実は違うんです。
今後は見直しながら対策していく
今後、TNRを進めつつ、その効果については検証し、順応的にノラネコ対策を見直していく。5市町村が中心となって関係団体等と連携してこれらの飼い猫やノラネコへの対策を推進し、新たなノネコの発生を予防していく。
TNRの効果を検証しながら結果をみつつ柔軟にノラネコ対策していくよということが書かれています。
私も一度大熊の外ネコ調査報告会に行って、どのような調査が行われているかを聴いてきました。
-
第1回大熊町外ネコ調査報告会に行ってきたので感想を書く
奄美猫部が「第1回大熊町外ネコ調査報告会」なるものをしますよという告知をしていたので、前々から母に息子をこの時間頼むぞとお願いして行ってまいりました。 私は大熊町民じゃないので参加してい ...
続きを見る
大熊の外ネコ調査は地元民も巻き込んでの調査で「猫への意識向上にとてもいいなあ、丁寧だなあ」と感じたことを覚えています。
またノネコ捕獲等に係る検討会でも集落ごとの不妊化率を数値で出したり、TNRした猫は台帳に記録していたりとノネコ管理計画は丁寧なんですよね。
なのでもしかしたら、しっかりノネコ管理計画を読んだうえでどう反対なのか、どうしたら改善できるのかも冷静に考えて提案してみたら考えてもらえる可能性は大いにあると思うんです。
反対署名よりも、どう改善できるのかを考えてみませんか?
※ただしデマ情報を信じ込んだ末に反対であると言っても当然聞いてはもらえないので注意してください。
③普及啓発活動
③普及啓発活動
奄美大島におけるネコ問題に対する認識や飼い猫の適正飼養に対する意識の向上のため、環境省、鹿児島県、奄美大島 5 市町村、民間団体、鹿児島大学等が、シンポジウムやイベント、チラシ配布、出前授業などの普及啓発活動を行っている。また、島外在住の有識者も奄美大島と徳之島にて普及啓発活動に取り組んでいる。ネコ問題や飼い猫の適正飼養に対する意識向上や、動愛法や条例に定める飼い猫の登録、マイクロチップ装着、繁殖制限、みだりな餌やりの禁止等の遵守等について、連携して更なる普及啓発に努めるものとする。
③では猫関連の助成やTNRと同じくらい重要な普及啓発活動について書かれています。
「(1) 体制」では啓発活動は環境省と鹿児島県、奄美大島5市町村でやるよと紹介されていましたが、ここでは
- 環境省
- 鹿児島県
- 奄美大島5市町村
- 民間団体
- 鹿児島大学等
5つの組織が普及啓発活動を行うよ!とありますね!
普及活動の内容は
- シンポジウム
- イベント
- チラシ配布
- 出前授業
です。
今までどのようなものが行われたのかを振り返ってみましょうか。
※全部は拾いきれないです!すみません!
ノネコ管理計画関連のシンポジウムやイベント
ノネコ管理計画関連のシンポジウム一覧に入る前に、シンポジウムとは何かを引用しておきます。
シンポジウムは、日本語で表現すると討論会や研究発表会といった言葉が使用されます。「集まってお酒を交わす」という意味のギリシャ語が語源となり、現在のシンポジウムになったという説が有力です。
一般的には、ひとつの決めたテーマを議論する流れが知られています。関係者だけでなく、第三者となる聴衆を招いて公開することがシンポジウムの大きな特徴です。テーマが同じであればそれぞれがもつ意見や考えの内容は問いません。異なる意見をもつ登壇者が、聴衆の前で議論を重ねます。
第三者を交えた討論会、研究発表会がシンポジウムと呼ばれるものということですね。
ノネコ関連関係のシンポジウムは拾えるだけで以下のものがありました。
- 【2015年/新聞】奄美国際ノネコ・シンポジウム(記録集はこちら)
- 【2015年/新聞】希少種とノネコ・ノラネコシンポジウム
- 【2016年】ネコで決まる!?奄美の世界自然遺産!かごしま国際ノネコ・シンポジウム(記録集)
- 【2017年/新聞】島しょの生態系を守るため
- 【2017年/新聞】第5回島のネコ問題
- 【2017年/新聞】奄美の自然と〝島んちゅ〟の未来
- 【2018年】公開シンポジウム「島の自然と未来をみんなで考えよう!奄美大島からネコ対策の明日をつくる」
- 【2018年/新聞】自由研究発表大会・環境教育シンポジウム
- 【2018年/新聞】奄美の植物と世界自然遺産
- 【2018年/新聞】野生化した猫(ノネコ)の問題を考えるシンポジウム
- 【2018年】奄美ネコ対策協議会(奄美市など5市町村担当者)との勉強会(外来ネコ問題研究会・奄美ネコ問題ネットワーク主催)
- 【2018年/新聞】ニャンともフェスティバル~NO NECO、NO LIFE~
- 【2019年/新聞】かごしま生物多様性シンポジウム
- 【2019年/新聞】ペットの適正飼養啓発で街頭キャンペーン
サラッと検索しただけでこれだけありましたので、実際はもっとあるかもしれません。
ノネコ管理計画が始まる前のシンポ・イベントも含みましたが、参考になると思い含めましたのでノネコ管理計画が始まってからのシンポやイベントを知りたい場合はタイトル前の【】の年で判断してください。
※ノネコ管理計画は2018年から始まった計画です。
ノネコ管理計画関連のチラシ(パンフレット含む)
ノネコ管理計画関連の出前授業
ここも全ては押さえきれないのですが、南海日日新聞さん(奄美の新聞)の検索でひっかかったものをご紹介します↓
ノネコの発生源のひとつに猫の不適正飼養がありますから、猫を適正に飼養できるように主に小中高の学校で「猫を適切に飼うための知識」や「猫にまつわる問題」についてを講演しているわけですね。
ノネコの完全ゼロを目指すには適正飼養が必要不可欠なので、これからも応援しています。
みだりな餌やりとは?
ネコ問題や飼い猫の適正飼養に対する意識向上や、動愛法や条例に定める飼い猫の登録、マイクロチップ装着、繁殖制限、みだりな餌やりの禁止等の遵守等について、連携して更なる普及啓発に努めるものとする。
↑この中で
- ネコ問題
- 飼い猫の適正飼養に対する意識向上
- 飼い猫の登録
- マイクロチップ装着
- 繁殖制限
についてはもうなんとなくでもここまで読んできた人は理解しているんじゃないかなと思うのですが、
- みだりな餌やりの禁止
これ!これですよ。
この「みだりな餌やり」について奄美大島以外でもたびたび議論になっていますよね。
「みだりな餌やりって何?どんな餌やり?みだりじゃなきゃ野良猫に餌あげてもOK?」
と考えちゃう人もいると思いますので、みだりな餌やりについてここでは考えてみましょう。
みだりな餌やりとは前後を考えない餌やり
みだりな餌やりについて、奄美市の「ノラネコに関するQ&A」でしっかりと回答されていましたのでご紹介します。
Q. みだりな餌やりとは何ですか。
A.みだりな餌やりとは、飼い猫以外のネコに勝手に餌付けすることで、ノラネコの数を増やしたり、近隣住民への公衆衛生上の問題を引き起こす原因と考えられるものです。
引用:ノラネコに関するQ&A
なるほど、奄美市が定めるみだりな餌やりとは
- 飼い猫以外への猫への餌付け
なんですね。
飼い猫以外の猫へ餌付けすることにより、野良猫の数が増えたり近くの住民への公衆衛生上の問題を引き起こしかねないから餌付けをやめましょう、ということなんですね。
でもこれだけだとどこか釈然としません。
どうして飼い猫以外の猫へ餌付けすることがみだりな餌やりになってしまうのでしょうか。
みだりな餌やりの「みだり」とは?
そもそもみだりな餌やりってなんだろうと考えた時、わからないならまずは文字の意味を検索しましょう。
「みだりってなんだろう?」
なんて自分一人で考えるよりもグーグル検索で答え教えてもらった方が時短になります。
みだり
【妄り・濫り】
《副にナ》むやみやたら。
《「―に」の形で》 これといった理由もなくやたらに。
「―に魚を捕ってはならない」
筋が立たずでたらめなさま。
「―なことを言いふらす」引用:Oxford Languagesの定義
みだりとはずばり、「むやみやたら」であるということだそう。
でもむやみやたらと言われてもこれもふんわりしすぎているのでまた検索してみます。
むやみやたら
【無闇矢鱈】
《ダナ》「むやみ」の強めた言い方。引用:Oxford Languagesの定義
ふむふむ、「むやみ」🔎
むやみ
【無闇】
《ダナ》
1.
前後を考えずにふるまうさま。
「―な事を言うな」
2.
度を越すさま。
「―に暑い」引用:Oxford Languagesの定義
なるほど、みだりな餌やりとは、前後を考えない餌やり、度を越える餌やりということでしょうか。
確かに飼い猫以外へ餌をやると
- 野良猫の数が増える
- 公衆衛生上の問題
に発展する可能性は大いにあるわけで、「これら問題に発展する=前後が見えていない行為の結果」ともとれますからなるほど自分の飼い猫以外に餌をあげるのは確かにみだりな餌やりですね。
奄美では行政によるTNRが実施されていますから、避妊去勢された猫も多いです。
そういった猫なら野良猫が増える心配がありませんが、公衆衛生上の問題も考えると避妊去勢された猫であっても自分の飼い猫でないなら餌をあげないほうが賢明ですね。
公衆衛生上の問題とは?
では避妊去勢された猫で公衆衛生上の問題にひっかからないのであれば問題ないということになりますが、そもそも公衆衛生上の問題とはどういうことなのでしょうか。
こちらも手っ取り早くGoogle先生に聞いてみました。
公衆衛生は公衆と衛生に分解できるので、まずは分解して🔎してみましょう。
こうしゅう
【公衆】
社会一般の人々。
「―道徳」引用:Oxford Languagesの定義
えいせい
【衛生】
健康を守り、病気の予防をはかること。清潔に保つこと。
「―上問題がある」引用:Oxford Languagesの定義
公衆と衛生を合体させると、社会一般の人々の健康を守り、病気の予防をはかること、清潔に保つこととなりますね。
ただ文字を合体させると違う意味になることもあるため合体させた場合はどんな意味になるのかも見ておきましょう。
公衆衛生「Public Health」は、「人間社会の健康に関わる諸問題に集団的に対応すること」とされ、人々を集合としてとらえ、市レベル、町レベル、場合によっては国レベルで対応策を考える事を言います。「国民の健康を保持、増進させるため、公私の保健機関や地域・職域組織によって営まれる組織的な衛生活動」(広辞苑)と言えます。具体的には、日本では、母子保健、伝染病予防、生活習慣病対策、精神衛生、食品衛生、住居衛生、上下水道、屎尿塵芥処理、公害対策、労働衛生などです。
引用:公衆衛生|SHARE
公衆衛生については詳しく解説されたページがあったのでこちらを引用させていただきました。
「公衆+衛生=社会一般の人々の健康を守り、病気の予防をはかること、清潔に保つこと」
と大体の意味はあっていますが、もっと詳しく言うと、公衆衛生とは
- 市・町・場合によっては国レベルで対応策を考える=人間社会の健康に関わる問題を集団的に対応
- 公私保険期間、地域や職域組織で組織的な衛生活動
- 母子保健や伝染病予防、生活習慣病対策、精神衛生、食品衛生、住居衛生、上下水道、屎尿塵芥処理、公害対策、労働衛生などに取り組む
ということなんですね。
猫は可愛いですが、どうしても外にいると病気や寄生虫を持ってしまっていることも多く、またご飯を食べれば当然うんこやおしっこもするので伝染病予防、精神衛生に引っかかってしまうわけですね。
よく「猫のうんこくらい我慢しろ」という声もあるのですが、うんこって臭いし見て、嗅いで「幸せ!」って気分にはなれないんですよね……。
我慢できたとしても、どこのどの猫が出したうんこかもわからないものを目にするのは精神衛生上よろしくないと言えます(人によるとは思いますが、少なくとも私は家の前にされてると嫌な気持ちになるタイプです)。
猫のうんこやおしっこに対して暗い気持ちになることを”器が小さい”と言う人もいますが、自分には問題ないものでも他の人はそうとは限らないものですから、できるだけ自分が大丈夫なものだからって押し付けないようにしていきたいものですね。
なんにせよ精神衛生がクリアできたとしても、猫から人に移る伝染病もありますので、伝染病予防の観点からみても野良猫にみだりな餌やりはしないに越したことはないでしょう。
猫から人に移る病気とは?
- トキソプラズマ症(糞に原虫がいて人の体内に入ることあり・抗体を持たない妊婦が感染すると流産や胎児の先天性障害のリスクが上がることも)
- 回虫幼虫移行症(糞に回虫の卵があり、人の体にはいり孵化、肝臓や脳、目に障害を起こすことがある)
- 疥癬(接触することで感染、人も強い痒みを伴う湿疹や脱毛・かさぶたができることも
- SFTS(噛まれたりして移るとも言われているがグローブ・マスク着用にも関わらず感染した例もあり 人が発症すると消化器症状や頭痛、筋肉痛、神経症状などが出ることも)
上記は一例です。
誰かの飼い猫が外に居る場合、餌やりしても良い?
「野良猫にみだりな餌やりをしてはいけないなら、外に居る飼い猫になら餌やりもしていいのかな?」
と考える人がもしかしたらいるかもしれないので、こちらも考えてみましょう。
ですがこれは考えるまでもなくNOです。
先ほどのQ&Aを振り返ってみましょう↓
Q. みだりな餌やりとは何ですか。
A.みだりな餌やりとは、飼い猫以外のネコに勝手に餌付けすることで、ノラネコの数を増やしたり、近隣住民への公衆衛生上の問題を引き起こす原因と考えられるものです。
引用:ノラネコに関するQ&A
飼い猫以外のネコに勝手に餌付けをすることがみだりな餌やりとありますが、人が飼っている猫は自分が飼っている猫ではないため「飼い猫以外のネコ」となりみだりな餌やり禁止の対象となります。
餌をあげたいなら家で飼うだけで、
- 毎日餌をあげられる
- 雨の日でも濡れることなく餌をあげられる
- 放置して虫がたかった餌を猫が食べるなんてこともなくなる
ので、実は自分だけの可愛い猫を思う存分観察できるしお世話できる室内飼養は飼い主側にとってもメリットいっぱいなんですよ!
どうしても餌をあげたい!という場合は家の中で飼い猫にあげましょう!
8.計画の評価と見直し
8.計画の評価と見直し
計画の達成のために、定期的にノネコ捕獲の実施状況や排除の達成状況、ノラネコ及び飼い猫対策の実施状況について適宜評価を行うとともに、実施方法等については専門家の意見を踏まえて具体的に検討、見直しを行うこととする。
ここにはノネコ管理計画を達成するために、定期的な状況確認をして実施方法などを専門家の意見などをふまえ、具体的に検討や見直しをしますよと書かれています。
管理計画の目的「奄美大島の生態系保全」は変わりませんが、達成するための方法は柔軟に変えていきますよということですね。
現にノネコ管理計画はこれまでも「譲渡条件がもう少しやさしければ譲渡者が増えるのに」という声にお応えして譲渡条件が緩和されたこともあります。
※条件緩和についてはneco-neccoさんの記事「奄美大島から個人でノネコを迎える方法(2019年10月譲渡条件が緩和)」でどのような変更があったのかわかりやすく記事にしてありますのでご覧ください。
できるだけ譲渡に努めている計画だからこその緩和だったわけですね。
また、私が行った「令和元年度奄美大島における生態系保全のためのノネコ捕獲等に係る検討会」でも現状や問い合わせに対する検証結果の報告もありましたし、様々な面でどのようなことを継続し、変えていくかの研究が日々されてます。
検討会では猫が反応しやすい餌はどんなものなのか、捕獲する時の罠の中の温度は高温になっていないか、トゲネズミがかかりづらいようにするにはどうしたらいいのかなども話し合われていましたから、これからももっと良くなることでしょう。
まとめ
これでひとまず管理計画の解読は終わりです。
あとは引用文献と参考資料についてをサラッと記事にするくらいなので、もうほぼ管理計画書についての解読は終わりですね。
長い事お付き合い、ありがとうございます。
ノネコ管理計画は様々な意見が飛び交う計画ではありますが、読み解けば読む解くほど誤解されているだけなんだなあ、とわかる計画ですので、間違った情報に惑わされずまずは読んでみてほしいと思います。
それではまた!